ASDの言葉の裏がわからないのを改善した結果、幸せが増えた
アスペルガー症候群の特徴の一つに言葉の裏がわからない、言葉の真意がわからない、行動から相手の感情を読み取れないというのがあります。これってアスペルガー側は気づいていないことが多いんです。そして、自分がアスペルガーだと気づいたときにぶつかる壁もこれです。
私がアスペルガーだと気づいて、言葉に裏や真意があることを知って最初に思ったことは「もしかして、私が気づいていないところでもっと怒られたり、馬鹿にされたりしていたってこと?」でした。知らない幸せもあるんだから、このまま気づかないままの方が幸せなんじゃないかとも思いました。
ですが、言葉の裏や真意、行動の意味を知ったときに増えたのは、怒られたり馬鹿にされたりという嫌なことじゃなく、優しさや思いやりといったうれしいことでした。
アスペルガーはなぜわからない?
アスペルガーがなぜ言葉の裏や真意などがわからないかというと、人に興味がないからです。なんなら、興味がないことにすら気づいていません。「他人は他人でしょ?」って感じです。
それ以上に、自分の気持ちがわからないし、自分の気持ちがわからないことに疑問を抱かないので、他人の言葉に裏があることも、行動に意味があることも知らないんです。だって、自分の言葉に裏の意味なんてないですし、行動は深く考えずにしているから他人の行動に意味があるなんて考えもしません。
自分がアスペルガーになってぶつかる壁
そんなアスペルガーが自分はアスペルガーだと気づいたとき、周りの言葉には裏があって、嘘がたくさんあって、行動にも意味があることを知ります。
そんなとき頭によぎるのが、怒られたり、馬鹿にされたりしていたことです。「もしかして自分が気づいていないだけで、もっと嫌なことをされていたのでは?」という悲しみや恐怖心です。
そうなると、言葉を知ることが怖くなります。だって、治せばもっと嫌な気持ちになる可能性が高いんですから。知りたくないことまで知らなければいけないのは恐怖です。世の中、知らない方が幸せなことも多いです。鈍感なくらいの方が幸せな気がするんです。
なので、この言葉の裏や真意、行動の意味を知ることに対して前向きに思えないという壁にぶつかります。
言葉の裏や真意がわかった結果
私はアスペルガーを改善して、言葉の裏や真意もある程度わかるようになり、行動の意味もなんとなくわかるようになりました。その結果、悪いことじゃなく、良いことが増えました。
改善するまで気づいてなかったんですけど、言葉の裏や真意って悪い意味だけじゃないんです。人は、優しさや思いやりを隠して人に接することもあるんです。そして、人は意外と悪意を隠して接するより、優しさや思いやりを隠して接する人の方が多いです。相手に気を使わせないために優しさや思いやりを隠すんですね。
本当に知らなかった。この隠れた優しさや思いやりに気づいたとき、人はこんなにも優しい人が多いのかとビックリしました。それまではわかりやすい優しさしかわからなかったんです。でも、わかりやすい優しさをくれる人って、後々嫌な人になることも多いんですよね。でも、本当は意外と優しさっていろんなところにありました。
義母に「台風の対策で手伝うことありますか?」って午前中に電話したら断られたんだけど、さっき「美味しそうなパンがあったから」とお裾分けを持ってきてくれた
— OKAMATI@アスペ主婦ブログ (@OKAMATI1) 2018年9月29日
何も言わなかったけど、朝の電話のお礼なんだろうな
こういう気遣いは見習いたいなと思う
これは実際に体験したことなんですが、アスペルガーを改善する前の私なら「おいしいパンがもらえてうれしいな」くらいにしか思わなかったんです。でも、今ならこの義母の行動が、午前中に電話をしたことがうれしかったからそのお礼に持ってきてくれたっていうのがわかります。この義母のお礼の気持ちに気づけるか気づかないかって結構大きな差なんですよ。
もちろん、自分じゃなく他に向けられた優しさや思いやりにも気づけます。テレビを観ていても、ふとした芸能人の気遣いや優しさに気づけてほっこりしますし、子どもに対して優しくしてくれた人の本当の意味もわかります。「かわいいね、抱っこさせて〜」と言って子どもを抱っこしてくれた近所のおばちゃんは、実は抱っこがしたいんじゃなく「ずっと抱っこしてて疲れるでしょ?ちょっとの間代わってあげるよ」って意味だというのも気づけるようになりました。
こんな風に、今までなら気づかなかった優しさや思いやりに気づけて、周りには自分が思っている以上に優しい人が多いことに気づきました。もちろん、言葉の裏や真意がわかることによって嫌なことにも気づきますよ。嫌味もわかるようになったし、馬鹿にされたのもすぐにわかるようになりました。でも、それ以上に優しさの方が多く周りには溢れていました。
そして、優しさや思いやりがいっぱいあることに気づいた結果、人に興味が出てきました。全く興味が持てなかった人間や世間に対して興味が出てきたんです。人と触れ合うのが楽しくて、もっと知りたいって思うようになったんです。そうなると、とても毎日が楽しくなりました。
まとめ
いろいろ知ると、意外と人間や世間っておもしろいですね。本当に、優しさに気づけるようになってよかったと心底思っています。この優しさや思いやりに気づけて人に興味が持てるようになったのが、アスペルガーを改善してよかったと思う一番の理由です。