アスペルガー症候群の思考と会話 1
私はアスペルガー症候群ですが未診断です。PTSD治療優先のため、医師の判断により診断を受けていません。なので、自分で調べて、自分と向き合ってアスペルガーを改善しました。ですので、これから書くことは医学的に根拠のあることではなく、あくまでもアスペルガー症候群の人間が気づいたアスペルガー症候群の人の思考、会話、そして改善策をまとめたものです。
そもそも、一言にアスペルガー症候群と言ってもいろんな種類の方がいて、男性と女性でも症状は違います。なので、こんな考え方もあるんだくらいの軽い感じで読んでください。
ちなみに、現在正式にはアスペルガー症候群のことを自閉症スペクトラム又はASD、発達障害ではない人を定型発達と言いますが、誰にでもわかりやすい様にアスペルガー症候群は“アスペルガー”、アスペルガー症候群ではない人は“一般の人”とこの記事では書きます。
それと、例文で出す会話が標準語に直せなかったため関西弁になっています。
そのあたりはご了承ください。
私がアスペルガーを改善して変わったこと
私は、アスペルガーを改善するのに4年かかりました。最初の1年は本を読みまくり、2年目は自分の内面と向き合い、3年目は自分以外の人の内面や行動と向き合い、4年目は自分の能力と向き合いました。
その4年で変わったことは
・一般の人と普通に世間話ができる
・周りの人間が変わった
の2点ですが、本当にこの変化は大きいです。
一般の人と普通に世間話ができるというのは、相手の言いたいこともわかり、こちらの言いたいことも伝えられるのでトラブルが起きなくなるんです。怒られないのは本当にストレスが減ります。
そして、もう1点の周りの人間が変わったというのは、かなり言い方は悪いですが、レベルの低い人とは自然と縁が切れ、周りの人が気遣いのできる優しい人ばかりになりました。類は友を呼ぶと言いますし、どうしても自分と同じレベルの人間が周りに寄ってくるんです。なので、自分と向き合って自分のレベルを上げたことで、自然とレベルの低い人とは縁が切れました。自分を変えるだけで穏やかな生活になるんです。
アスペルガーの人で悩んでいる方は多いと思うんです。私も散々悩みましたし、かなり苦労しました。でも、変わって楽になったので、今悩んでいる方の参考になればと思っています。本当は、とりあえず小説を読めば変わるよって言いたいですが、いきなりそれだと意味がわからないと思うので、まずアスペルガーと一般の人の思考の違いを説明します。
会話の例文
同じシチュエーションでも、一般の人同士の会話と一般の人とアスペルガーとの会話では違いがあります。今回は彼氏が浮気をしたときの会話で説明します。
《一般の人同士の場合》
A「彼氏が浮気してん。腹立つわ」
B「マジで?彼氏最低やな。ありえへんわ」
A「せやろ。やし、別れるわ」
《一般の人とアスペルガーの場合》
A「彼氏が浮気してん。腹立つわ」
ア「なんで腹立つの?」
A「はぁ?普通、腹立つやん。なんなんその言い方」
ア「えっ、いや…」
これ、私の実体験です。私はなんの悪気もなく、なんで腹立つのか聞きました。でも、相手はかなり怒ってしまいました。アスペルガー側からすると怒られた意味がわからないんですよね。では、何故こんなに考え方に差があるのか。
一般の人の思考
私は、一般の人がどう考えているのかに興味がわき、性別や年齢関係なくいろんな人に同じ質問をしました。とりあえず、誰にでも聞きやすくて答えやすい害のない会話として、浮気についてどう思うのかを聞いたんです。
質問は2点です。
・浮気をされたらどうする?
・何故そうするの?
大体の人が浮気をされたら怒ると即答しました。なので、「何故怒るの?」と質問したら、独占欲や嫉妬、裏切られたから、自分が忙しくしてるときに遊んでたのが腹立つなんて意見がありました。そして、特徴的だったのが、大体の人が「何故怒るの?」という質問にキョトンとして、考えてから答えてくれたことです。怒るという行動はすぐ想像ができるのに、その行動を起こした感情には即答できないんです。
そこで、いくつかの疑問が出てきました。何故理由が違うのに行動が同じなだけでトラブルにならないのか、何故会話の例文みたいに相手の会話にすぐに同調できるのか。考えた結果、一般の人は周りに行動の共感を求めるのではないかと仮説を立てました。
行動の共感
例文で考えると、
浮気される→腹立つ理由→怒る
という思考になるはずですが、一般の人はその最後の“怒る”ということに同調してほしいだけであって、理由なんてどうでもいいんではないかと思いました。
もともと、一般の人はみんな同じというのを好みますから、感情より目に見える行動が一緒かどうかの方に重点を置くのではないかと考えたんです。泣いてるときは一緒に悲しんでほしいし、笑ってるときは一緒に笑ってほしいし、怒っているときは一緒に怒ってほしい。その行動の理由に共感してほしいのではなく、行動に共感を求めるんです。自分が行動に共感を求めるから、自然と相手も行動に共感を求めることを理解し、会話や行動ができるんだと思います。
ただ、この行動の共感がアスペルガーはできないんです。
アスペルガーは思考の共感
アスペルガーは、流行りに興味がなく、みんなと一緒という状況に魅力を感じない人が多いです。それに、そもそも相手の気持ちを想像したり、行動や雰囲気から相手の感情を読み取ることが苦手なので、行動に興味が持てないです。なら、アスペルガーはどこに興味を持つか。
先程の例文で考えると
浮気される→腹立つ理由→怒る
という流れの“怒る”に興味が持てませんから、自然と腹立つ理由に興味がいきます。しかし、相手の気持ちが想像できないアスペルガーはその腹立つ理由がわかりません。なので、相手を想うからこそ「なんで腹立つの?」と聞くことになるんです。アスペルガーは行動に共感ができないからこそ思考の共感を重視するんです。
アスペルガーの会話の原因
そもそも、アスペルガーは自分の感情と向き合うのも苦手で、何故自分がそうしたか、何故自分がそう思うかを答えられない人が多いです。だって、本気でわからないんですよ。だからこそ、わからない自分のことをわかってほしくて必死に相手に話します。それが結果的に回りくどい話し方と言われたり、質問に答えていないと言われたりして一般の人との会話が上手くいきません。
だけど逆に言えば、普段アスペルガーの人が話すくらい詳しく話さないとアスペルガーには伝わらないんです。私たちだって上手に話したいけど、一般の人との思考や求める共感の違いがわからないから、どうしても相手を怒らせてしまうんです。“一を聞いて十を知る”なんて、言葉を言葉のままにしか受け取れない私たちには無理なんです。
まとめ
だけど、私はそれができるようになりました。行動の共感もできますし、相手の言いたいこともだいぶわかるようになりました。アスペルガーを改善してから出会った今一番身近な夫には、今でもいい意味でアスペルガーだと認めてもらえませんし、一般の人より人の行動や会話から真意を汲み取るのがうまいと褒めてもらえます。
アスペルガーだしできないから仕方ないと開き直るのも1つの手かもしれませんが、それでは何も変わりません。とりあえず、どう違うのか理屈さえわかってしまえば、会話だけなら改善できます。そして、会話さえ改善できれば生活の中のストレスが減るんです。なので、次回はコミュニケーションに何故ここまで違いがでるかを具体的に説明をします。