発達障害な私の育児日記

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発達障害を抱えながら家事・育児に奮闘中!私ならではの解決法を提案します!

アレキシサイミア(失感情症) アスペルガー症候群な私の実体験

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アレキシサイミアという言葉をご存知でしょうか。日本語では失感情症と言われています。漢字の印象で感情がない人と思う方もいらっしゃいますが、正確には感情を自覚できない人のことを失感情症と言います。

 

私は生まれつきの失感情症です。私は発達障害であるアスペルガー症候群なんですが、一番悩んでいたのは自分の感情がわからないことでした。このブログでもずっと自分の気持ちがわからなかった、心を知らなかったと書いてきました。現在、失感情症はだいぶ改善しています。医者にもカウンセラーにも通わず、何も調べず、誰にも相談せず自力で改善しました。ひたすら自分や他の人と向き合って改善してきました。なので、今回は私の失感情症の実体験を書きます。

 

ちなみに、失感情症は先天的なものが原因の方と後天的なものが原因の方がいます。しかし、今回は先天的なものが原因の失感情症を基本として書いています。

 

そして、この記事を書くために失感情症について調べました。アスペルガー症候群との関係性、そして失感情症とアレキシソミア(失体感症)との関係性、それぞれの医学的な解釈。しかし、全てにおいて医学的にはよくわかっていないのが現状でした。

 

ですので、今回は失感情症についてのみの実体験を書きますが、この内容は一人の一般人が自分の失感情症と向き合い分析した結果と調べてわかった情報です。医学的根拠があるものではありません。

 

失感情症の実態、問題点、改善方法を書いていきます。

 

 

 

アレキシサイミア(失感情症)とは

 

アレキシサイミア(失感情症)とは、自分の感情の自覚や認知、表現が苦手で、想像力や空想力が欠如した症状のことです。

 

それと似た症状でアレキシソミア(失体感症)というのがあります。失体感症は、痛みや空腹、眠気などの欲求、疲労やストレスを自覚や認知するのが苦手な人のことです。

 

この、失感情症と失体感症は併発することが多いと言われています。原因は右脳の機能がうまく働かないことではないかと言われていますが、正確なことはわかっておりません。

 

しかし、これらの症状は発達障害の方によく当てはまりますよね?

 

実は、自閉症スペクトラム自閉症は左脳機能不全、アスペルガー症候群は右脳機能不全だという情報があります。ということはですね、アスペルガー症候群の方は失感情症や失体感症を併発しやすいんです。実際、アスペルガー症候群の50%は失感情症だとも言われてるんです。この辺りも発達障害の方が生きにくい原因の一つです。

 

ですが、感情を認知できる人には失感情症ってよくわからないと思います。失感情症の方も自分の状態がよくわからないと思います。ですので、まずは私なりの解釈でご説明します。

 

感情とは

 

人にとって生きていく上で欠かせない水。水がないと生きていけません。感情も同じです。生きていく上で欠かせないものです。私にとって感情は水のように感じます。

 

一般的な方の感情は川です。細い、太いなど、人それぞれ様々な川を持っています。穏やかなときもあれば荒れていることもある。しかし、常に身近に感じて確認することができます。背を向けると見にくくなりますが、それでも川があることは実感できます。

 

それに比べて、失感情症の方の感情は地下水路です。地上にいる限り川の存在は知れません。ですが、生きていく上で必要な水なので影響は受けます。

 

たまに、水量が一気に増えて地上に溢れ出ることがあります。そんなとき初めて「あれ?水があるの?」と疑問を持ちます。ですが、また水量が減れば水の存在がわからなくなります。これを繰り返すことにより「よくわからないけど水が溢れてくることがある」と不安を覚えます。

 

そして周囲を見渡せば、みんな自分の川を持っていることを知ります。「何故自分には川がないの?」と疑問に思い、さらに不安になります。

 

これが一般の方と失感情症の方の感情の違いです。失感情症の方は感情を感じたくても感じられないんです。

 

ちなみに、鬱病などの方は川が決壊した状態です。水が増えすぎて川を保てなくなったんです。ですので、まずは休んで水量を減らして、また水を流せる土台を作る必要があるんです。しかし、土台が完成しても、決壊した恐怖を覚えていますので少しずつ水を増やしていく必要があります。楽しいことをしたりして少しずつ水を増やしていくんです。

 

だから、精神的に辛い方はしっかり休んでください。焦って土台を作るとまた川が決壊してしまいます。ゆっくり休んで少しずつ進んでください。

 

失感情症の問題点

 

もしかしたら失感情症に対して「嫌な気持ちに気づかないんだからいいじゃん」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、失感情症のメリットは全くないです。

 

まず、失感情症の方は感情を認知するのが苦手というだけで感情を全く感じないわけではありません。人によって感情の認知度は違うと思いますが、多少の喜怒哀楽は感じます。なので、人より冷めてるだけだと思っている方もいるはずです。

 

それが前提で、私の感覚だと失感情症の方の中には2つの意識があるんです。感情の影響をあまり受けない自分と感情のみで動く自分です。普段過ごすのは影響をあまり受けない自分です。しかし、たまに喜怒哀楽の様々な感情が溢れてきて感情のみで動くことがあります。感情のみで動いているときは上手く自覚できません。振り返ってもよく覚えていません。なので、そういうときのことは「なんか興奮し過ぎたみたいでよく覚えてない」と私は認知してしまいます。

 

そして、基本的に感情によって自然と出た行動は自覚するのが難しいんです。怒って声を荒げてるのにそれに気づかない人もいます。楽しくて笑ってるのにそれに気づかない人もいます。何故か感情によって自然と出た行動は自覚するのが難しいんです。

 

たぶん脳が《感情=行動》と公式化して認識していることは、公式の一部をわからないせいで公式全ての認知が難しくなるんだと思います。実際私は「何故かわからないけどした」ってことが多いです。

 

失感情症は、2つの意識と感情によって自然と出た行動を自覚できないことが問題なんです。

 

私の場合、普段は感情表現が乏しいせいで何を考えているかわからないと思われていました。それなのに、感情が溢れて一般的には興奮状態と言われる状態になると普段からは考えられない言動をとりました。普段は口にしないようなことを言ったり、絶対しないようなことをしたりです。

 

こんなの誰でもあると思う方もいらっしゃるでしょうが、失感情症の人はこの差が激しいんですよ。普段は感情を認知できないせいで冷たいとさえ言われる人間が、興奮すると普段からは想像できない状態になるんです。しかも、感情のコントロールができません。だって、感情が抑えられているときも感情が暴走するときも感情を認知できないんですから。ですので、暴走しだすと止まれないんです。

 

ずっと周囲は私に対して《一貫性がなく、言葉も行動もコロコロ変わる》と判断していました。そりゃそうです。普段の私と興奮状態にある私は言動が全く違うんですから。しかも、私が落ち着いてから「何故あんなことしたの?」と質問しても「わからない」としか答えないんです。何か答えたとしても、そのときの行動に対しての言い訳としては全く成立しないことを言うんですよ。だって、興奮状態の私と普段の私の意識は違うんですから。こんな人間は大抵の人が信頼できません。

 

それに、感情によって自然と出た行動を自覚できないせいでトラブルが起きやすいです。例えば、失感情症の人がAさんは世間話をしているときにいつもおどおどしてるから小心者だと判断したとします。でもAさん側からすれば、いつも失感情症の人が怒っているせいで気を使ってしゃべっているだけなんてこともあるんです。失感情症ならこんなことはよくあるんです。

 

同じ時間を過ごしてるのに全く違う時間を過ごしたような感じ方をする人のことは大抵の人が信用しません。

 

しかも、日常会話の中で感情を込めて話すということができません。自分の感情を知らないから共感もできません。感情を必要とする会話ができません。普段の私を冷徹なロボットのように周りは感じていたかもしれません。少なくとも私は自分をロボットのようだと感じていました。

 

そして、失感情症は感情を認知できないせいで自分が傷ついたことに気づけません。「ちょっと嫌だったな」ってことが本当は大きなトラウマになっていることがあるんです。この、傷に気づけないって本当に困ることです。傷は癒すから立ち直れるし前を向けるんです。傷ついたのに気づけないと、癒せないせいで傷が残るんです。それによりどうなるか。

 

常に不安が付きまとうようになります。だって、傷がずっと残っている状態ですからね。まぁ、この不安感にも気づけないんですけどね。不安なことに気づけないとストレスは溜まるし心身ともに不調をきたすんですよ。まぁ、これも気づけないんですけどね。

 

結果、動けないくらいしんどくなって倒れてから自分の状態に気づくことになります。倒れてからやっと本人も周囲も気づくんです。

 

感情を認知できないというのは、コミュニケーションに問題があるせいで人間関係に困難が生じ、結果的に周囲からの信頼を得られません。そして、動けなくなるくらい傷ついてから自分の不調に気づきます。

 

でも、感情が認知できないせいで自分が何を考えて何を感じているかがわからないため、どうやって自分を変えていけばいいかもわからないんです。

 

私は自分の感情を認知できるようになるまで《何もかもがわからない世界》で生きていました。何もかもがわからないから、何をどうすればいいかわかりませんでした。そんな何もかもがわからない世界の中で一番わからないことは自分のことでした。

 

改善方法

 

失感情症の方の人生を生きやすくする一番の方法は、自分の感情を認知できるようになることです。だけど、これって難しいんですよね。失感情症の方にとっては雲を掴むような作業です。でも、できるようになりますよ。自分の感情を認知できれば人生は何倍も楽しくなります。自分を知る度にうれしくなりますよ。

 

これから書く方法は、あくまでも私がした感情の認知の方法です。方法は本人ができることが2つ、周囲ができることが1つです。しかし、どちらも失感情症の当事者が「感情を認知できるようになりたい!」と思うことが必要になります。そして、失感情症の方が自分以外の何かと関わることが必要になります。

 

基本的には感情により改善方法が異なります。

 

①悲しみや怒りは掘り下げよう

 

喜怒哀楽の怒と哀の感情は、失感情症の方でも比較的感じやすい感情かと思います。どうしてもこの感情の経験が増えてしまいますからね。

 

先程の地下水路の説明だと、怒や哀は地下から水が溢れ出た状態です。その水の溢れてきたところをどんどん掘って水の在り処を探すんです。そして、穴を完全に開けて常に上から水を見れる状態にします。こうすれば空いた穴に関してはいつでも水を確認できます。

 

つまり、そのときの感情を理解して、似た状況になったときに感情を認知しやすくするんです。

 

実際にどうするかというと、腹が立ったり悲しくなったときに何故自分がそんな気持ちになったかをずっと考えるんです。ポイントは、できるだけその感情に関することを周囲に言わないことです。人って一度言葉に出して誰かに伝えると、それが間違っていても正しいことにしようと無意識に考えてしまうんです。この習性が感情を見つける作業には邪魔になるので、できるだけ言わないでください。

 

具体的な方法としては、そのときの状況を客観的に分析していきます。誰が、どこで、何をして、何を言ったか。そして、自分の行動により状況がどうなったか。前後も含めて具体的に客観視して分析していきます。このとき、できるだけ自分に語りかけるように行ってください。「こうだったね、もしかしたらこう思ったのかな?」という感じです。

 

その分析が当たっていると私はスッキリします。スッキリしたら、その感情を同じようにしてどんどん掘り下げるんです。

 

要は、自分で自分に共感してあげるんです。「あなたは〇〇かな?〇〇と思ったんだよね」って感じです。自分が共感してあげるだけで自分の感情は喜んでくれるんです。そして、最後の答えまで辿り着いたら、それがどんな答えでも受け入れてあげてください。「そうだったんだね、がんばったね、悲しかったね」って感じです。

 

ここまですると、その感情に関しては認知できるようになります。自分に共感して受け入れるという行為を繰り返すだけで、自分が認知できる感情は増えていくんです。

 

②喜びや楽しさは行動で感じよう

 

喜怒哀楽の喜と楽の感情は、失感情症の方は感じにくいです。ですが、この感情が感じにくいから寂しさを感じるんですよね。

 

先程の地下水路で説明をすると、喜や楽は地上から掘ることによって水を溢れさそうという方法です。怒や哀と同じように一度掘ってしまえば後は水をいつでも見れるようになります。

 

実際にどうするかというと、「楽しみたい」「喜びたい」と思ったときに、笑ったり「楽しい」「うれしい」と言葉に出して誰かに伝えるんです。

 

具体的には、作り笑いをして少し高め声を出すんです。でも、これが難しいんですよね。すごくわかります。特に無理やり笑うのが難しいんです。だけど、作り笑いも少しのコツで自然な笑顔になるんです。

 

笑顔が苦手な人が無理に笑おうとすると顔に力が入って不自然になるんです。人ってね、笑うときは顔の力が抜けるんですよ。 だから、どれだけ力を抜いて笑顔を作るかがポイントです。笑顔の作り方としては、口角を上げて鼻から息を吐き出しながら目を細めます。

 

笑ってるように見えませんか?鼻から息を吐き出すと顔の力が抜けませんか?何度か試すと自然な笑顔になりますよ。顔の力を抜いて目を細めるだけでいいんですよ。これだけで優しい印象になります。

 

高い声は、赤ちゃんや動物に語りかけるような声を出せるといいです。少し高めの優しい声って感じです。これだけで相手に良い感情が伝わりやすくなります。

 

しかし、何故行動により感情を認知できるようになるかって疑問ですよね。

 

人は感情により行動できる生き物です。それは、脳が記憶しています。脳にとっては感情=行動なんです。だからね、先に行動をすると脳が勝手に感情を探してくれるんですよ。

 

楽しいから笑うと思ってる脳は、人が笑うと「ん?なんだ?笑ってるぞ。楽しいのか?」って疑問に思って感情を探してくれるんですよ。そして、実際に楽しい感情があると「ほら、あったぞ」って体が感じられるように感情を押し出してくれます。この脳の作用を利用するんです。

 

辛いときに無理に笑うと辛さが増すことありませんか?これもね、笑ったら脳が「楽しいのか?」と疑問に思って感情を探すけど辛いって感情しかないから、「違うぞ!楽しいんじゃなくて辛いんだぞ!」って教えようとして体が感じられるように感情を押し出すからなんです。あれは、「辛ければ辛いと言えよ」って脳の優しさなんです。

 

だから、楽しみたいときは笑ってみてください。

 

このおかげで、笑ってるうちに楽しいと感情を認知できるようになります。そして、一度経験した感情は認知しやすくなります。これを繰り返すことで、楽しいことやうれしいことがどんどん増えていきますよ。

 

③周囲の人は教えてあげてください

 

家族やパートナー、友達など周囲の人に感情を認知しにくい人っていると思います。そういう人には共感して感情を教えてあげてください。

 

「楽しいね」「うれしいね」「悲しいね」ってだけでいいんです。「楽しそうだね」「うれしそうだね」「悲しそうだね」だけでいいんです。ぜひ言葉で伝えてあげてください。

 

感情を認知できないとその感情の名前を知らない場合もあるんです。名前を知らないと感情を認知できません。一般的には当たり前の感情でも失感情症の方にとっては初めての感情かもしれません。ぜひ感情の名前を教えてあげてください。

 

できるならば、感情の名前と一緒にその人のしている仕草なども教えてあげてください。行動を自覚できれば感情を認知できるようになるかもしれません。いろんな角度から感情の存在を教えてあげてください。

 

失感情症は周りの人間も辛い

 

失感情症は辛いと書いてきました。ですが、本人だけじゃなく周りも同じくらい辛いんです。

 

私の夫は、家庭環境が悪かったせいで後天的な失感情症です。特に、怒りや悲しみの感情の認知があまりできません。そして、私の子どもが先天的な理由で失感情症の可能性が高いです。私の遺伝ですね。

 

夫も喜怒哀楽の表現をします。子どもも喜怒哀楽の表現がとても激しいです。本当に感情豊かな子なんです。でも、夫も子どもも自分の感情の認知が苦手です。

 

大切な人が笑って楽しそうにしているのに楽しいと感じていないんですよ。とても悲しそうな顔をしているのに悲しいと感じていないんですよ。これが本当に辛い。私自身が失感情症で、今は改善したとはいえ昔は症状が酷かったので本当に辛いのは本人だとわかっています。周りは教えることしかできないのも嫌という程自覚しています。でも、辛いし悲しいです。本当に悲しいです。

 

だから、辛いのは当事者だけだと思わないでください。当事者を想う人は同じように辛い思いをしています。

 

お願いです。失感情症の自覚がある方は、自分のためだけじゃなく周りのためにも自分と向き合ってみてください。

 

まとめ

 

今回はアレキシサイミア(失感情症)について実体験をまとめました。

 

失感情症については医学的にもよくわからないのが現状です。そりゃそうです。自分のことがよくわからない人間が自分の内面の相談をするんですから。医者がわからないのは当然です。

 

失感情症は時間はかかりますが改善できます。私は5年かかりましたがかなり改善しました。今は楽しい毎日を過ごしています。大丈夫です。失感情症の人も自分と向き合えば感情を認知できるようになります。

 

ちなみに、失感情症が主な悩みのアスペルガー症候群の成長過程別の改善方法を下記の記事に書いています。よければそちらも参考にしてみてください。

 

okamati.hatenablog.com

 

次回は、失感情症の原因別の違いなどを書きます。失感情症も先天的、後天的とで様々な違いがあります。この違いをご説明します。 

 

okamati.hatenablog.com